新型コロナウイルスのにはBCGワクチンが効果的という噂を聞いたことがありますか。
オランダではBCGワクチンを接種している国は新型コロナウイルスの感染者、死者が少ない傾向にあるのではないかという仮説を提唱しています。しかし、科学的根拠はなく安易なBCGワクチンの接種は推奨されていません。
BCGワクチンの正しい知識を広めるために、効果や副作用についてまとめました。
BCGワクチンとは
引用:BCC NEWS
BCGワクチンは結核用のワクチンです。牛に感染する牛型結核菌を時間をかけて弱めたものです。インフルエンザのワクチンと同じで、菌を薄めたものを接種して抗体を作るというものですね。
日本では全ての0歳児に定期接種を義務付けており、今ではほとんど全ての新生児が5ヶ月〜8ヶ月の間に定期接種しています。
フランス語でBacille de Calmette et Guérin 開発者のカルメットさんとゲランさんにちなんで、カルメット(Calmette)とゲラン(Guérin)の菌(Bacille)と呼ばれています。
1921年に初めて新生児に投与され、1924年には日本にもワクチンが入ってきました。1965年には日本の菌(Tokyo 172 strain)から作られたワクチンが開発され、WHOの国際参照品に指定されています。
結核は昔の病気のようなイメージですが、今でも年間約1万6千人がかかっている病気です。
アザラシさん
BCGワクチンの効果は?
BCGワクチンは結核の発病を予防する効果があります。
- 発病を1/4に抑える
- 結核性髄膜炎や粟粒結核に対して効果がある
- 予防効果は10~15年
BCGワクチンは、小児の症状が重症化しやすい結核性髄膜炎や粟粒結核の予防に最も有効なので、0歳児の時に接種する必要があります。
BCGワクチンの副作用は?
BCGワクチンを接種した時には軽度〜重度の副反応が現れることがあります。
- リンパ節腫脹(脇の下にしこりができる)
- 接種した場所がジクジクする
- 全身に発赤がでる
- 結核疹などの皮膚症
- 骨髄炎などの骨炎髄膜炎
- 全身のBCG感染症
骨炎やBCG感染症は重度の副反応で、滅多に起こりませんが、90万人中10人が骨炎に、2人がBCG感染症になっています。
すでに結核菌に対して抗体を持っている人、BCG菌の免疫を持っている人が接種した場合に重い副反応が現れる可能性があります。
ネコくん
BCGワクチンを使用している国は?
赤ちゃんの時にBCGワクチンを定期接種していない国が新型コロナウイルスが重症化しているのではないかと研究者の間で提唱されていて、オーストラリアやオランダでは感染、重症化の予防との関係の臨床研究が行われています。
例えば、感染者数が上位のイタリアではBCGワクチンは義務付けられておらず、死亡率も11%と高いです。イギリスにも同じことが言えます。しかし、感染者数が上位の中国とトルコの死亡率は4%と2%と低いです。中国とトルコではBCGワクチンが義務付けられています。
感染者数順位 | 感染者数 | 死者数 | 死亡率 | ワクチンの有無 | |
イタリア | 3位 | 139,422 | 17,669 | 12% | × |
ドイツ | 4位 | 113,615 | 2,349 | 2% | × |
中国 | 6位 | 81,865 | 3,335 | 4% | ○ |
イギリス | 8位 | 60,733 | 7,097 | 11% | × |
トルコ | 9位 | 38,226 | 812 | 2% | ○ |
日本 | 30位 | 4,667 | 94 | 2% | ○ |
ドイツのようにBCGワクチンを義務付けていない国でも死亡率が低い例もあるので、BCGワクチンと新型コロナウイルスとの因果関係はまだわかっていません。
何十年も前にオランダの Peter Aaby and Christine Stabell BennがBCGワクチンの研究を行った際に、接種後1年間は30%の感染症ウイルスの予防に有効という結果を残しています。
しかし、2014年と2016年には彼らの研究は信憑性が低いため、再実験する必要があると言われていました。
その背景を受けて、感染症のスペシャリスト、ネテア博士は免疫システムの研究を重ね、BCGワクチンが高齢者の感染症に対する抵抗力を高めるのではないかと提唱しており、オランダで検証する予定です。
トロント大学の免疫学者フィッシュさんは、BCGワクチンを自分で接種して新型コロナウイルスの効力を弱めることができるか検証しています。
ドイツとカナダでもBCGワクチンの臨床試験を始めていて、世界中でBCGワクチンが注目されています。
シロクマくん
しかし、今の時点ではBCGワクチンが新型コロナウイルスに有効という科学的根拠がないため、安易にBCGワクチンを接種することは推奨されていません。
新型コロナウイルスの感染が始まってから、初めて効果的かもしれないワクチンが発見されたので新型コロナウイルス収束の希望となってくれることを願います。
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BCGワクチンの接種は推奨されていない
4カ国がBCGワクチンと新型コロナウイルスの臨床試験を始めていますが、まだ科学的根拠はなく、BCGワクチンが新型コロナウイルスに効果的な訳ではありません。
BCGワクチンに対する反作用も軽視できないため、安易にワクチンを接種するべきではありません。
【#BCGワクチン について】
このワクチンは、乳児の定期接種のために製造されており、出生数と同程度しか出荷されていないため、余剰はありません。乳児にワクチン接種ができなくなってしまうと、重篤な髄膜炎や全身性の結核につながるリスクが高まります。 (1/2)https://t.co/SCV90qNg04— 厚生労働省 (@MHLWitter) April 8, 2020
先月末にはBCGワクチンの出荷数が3倍になりましたが、本来の「新生児に接種する」用途以外に使われています。ワクチンの数には限りがあるため、新型コロナウイルスの予防のためにワクチンを接種するという軽率な行動は控えたいですね。
まとめ:BCGワクチンの効果と副作用
BCGワクチンとは結核を予防するワクチンです。1歳未満の新生児が接種することによって、結核や小児がかかりやすい結核性髄膜炎や粟粒結核を防ぐことができます。反作用は軽度の皮膚症から重度の骨炎に至る可能性があります。
オーストラリア、オランダ、ドイツ、カナダで新型コロナウイルスはBCGワクチンが効くかどうかの臨床試験が行われていますが、科学的根拠があるかは証明されていません。
新生児のために作られているBCGワクチンは、基本的には新生児の数しか生産されていません。予防接種に影響が出ないようにモラルのある行動が求められます。軽薄な情報に踊らされないように、自分でしっかり見極めたいですね。
新型コロナウイルスに対抗できるワクチンが早く開発されることを願っています。みなさんも手洗いうがいをしっかり行って新型コロナウイルスを予防してくださいね。
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